「あっ。。。」 ふと目を覚ますと、見知らぬ部屋の中にいた。 ついさっきまでバーで飲んでいたはずなのに、と考えながら辺りを見回すと、 なんだか薄暗い倉庫の中のように思えた。 「ここは。。。」 なんで自分はこんな所にいるんだろうと首を傾げていたら、ふいに「ご注文は?」という子供の声が聞こえた。 はっとして前を見たら、大机があって、その向こうにまだ小学生くらいの女の子がいた。 少女はまた、「ご注文は?」と繰り返した。 「注文?一体ここはどこなんだ?何を売ってるんだ?」 怪訝そうにしている僕に、少女は「ここは不思議工房よ、幸せを売っているの」と答えた。 「不思議工房?幸せ?そんな物どうやって売ってるんだ?」 少女は紙と鉛筆を差し出し、それに願いを書けという。 「願い?そんなもの、今の俺にはねえよ。」 そう言うと少女は「じゃあ、お帰りなさい」と冷めた声で言った。 すると僕の意識はまた急に遠のいた。 はっとして顔を上げると、そこは今まで飲んでいたバーのカウンターだった。 なんだか呆気にとられた気分だった。 いつの間にか眠ってしまったらしい。 「チっ、つまらない夢を見ちまったな。」 もう今日は帰って寝ようと思い、バーを出たところで通行人の肩にぶつかった。 そしらぬふりして通り過ぎようとしたそいつに、俺は言った。 「おい、挨拶なしかよ。」 そして、あの事件が起こった。