捩れた現実に硝子越しで触れる指 視えない行き止まり 単純な迷路 やさしい途ばかり選んできた僕たちは 風より向こうの国を怖れて 焦がれて ふたつに割れた心 彼方へと往く方舟は 舵のきかない 運命をのせて 地図さえ塗り潰す 君の故郷のような群青の空 歪な記憶から生まれるものがあるなら 自由な足枷か 飛べない翼か 乾いたインクでは残せない願いばかり いつまでこの曖昧な空間に溺れて 耳を塞いでいるの? 何もかも まだここにある 不確かなもの 積み上げた理想は すぐ嘘をつく 君の涙を含む灰色の土地 そのまま眼を閉じて 忘れたくない錯覚が降る丘へと 堕ちてくる継ぎ接ぎだらけの夜 こじ開けた鍵束 その手のひらに混ざり合う熱 確かめた形は すぐ過去になる 僕の故郷のような灰色の空