[00:11.36]ふと気がつくと、 [00:13.80]薄暗い中一人で立っていた。 [00:18.84]目の前には、大きな門と、 [00:22.48]私によく似た小さな門番。 [00:28.26]後ろは…どうしても振り返ることができなかった。 [00:35.62]いったいどうしてこんなところにいるんだろう。 [00:40.66]見知らぬ場所なのに、 [00:42.65]なぜか不安や焦りはなかった。 [00:53.53]私は落ち着いてここがどこなのか考えてみた。 [01:00.71]もう少しで何か思い出せそうな、 [01:04.03]そんな気がするのだけれど… [01:33.64]考え混んでいたら、 [01:35.22]門番が口を開いてこう言った。 [01:40.30]「ようこそおいでくださいました。 [01:42.94]あなたはこれから一つ、決めなくてはなりません。 [01:48.13]元いた場所へ戻るか、 [01:50.87]それとも、門をくぐって先へ進むか。」 [01:58.27]門番の話によると、どうやら望んでここにきた人間は、 [02:03.86]門の前で一度振り返る権利があるみたいだ。 [02:13.97]私は望んでここへ来たのだったっけ? [02:20.50]ああそうか。 [02:24.15]少し思い出してきた。 [02:26.93]私は私の周りにまとわりつく、 [02:30.28]泥のような状況が嫌になって、 [02:32.48]その場から逃げてきたのだった。 [02:35.71]走って走って、 [02:38.21]気がつくとこの門の前まで来てしまっていたのだ。 [02:45.80]進むか、戻るか。 [02:53.05]門をくぐろうとしたその時 [02:58.22]後ろから懐かしい声に呼ばれた気がした。 [03:03.74]私は、足を止め振り返った。 [03:11.87]帰ろう。 [03:13.91]もう一度やり直そう。 [03:23.63]顔を上げると、門番がこっちを見てニヤリと笑っていた。