作曲 : コウ(Diarays) 作词 : コウ(Diarays) "母さんが生き返る。ナイト" 「実現したいことを書いたページに その代償が浮かび上がるんだ。」 「この日付までに必ず達成するんだ、 いいかいメア。」 「夢に出てきた百人を… こんなもの本当に信じるの?」 「この日記は本物だ。 学校の女子生徒に書き込ませた。」 「じゃあお兄ちゃんのその目も…」 あの女はてっきり視力を失ったことが 代償となったと思っていたが違った。 「そう、あの…」 何故だ?名前が思い出せない。 女子生徒?そもそも女だったか… 「大丈夫?お兄ちゃん…」 その時、兄妹はまだ、 日記の本当の力を知らなかった。 いないいない私がいない 夏、閉じ込められた静雑音 痛い、聞こえやしない 忘れた生の回路切って 堕ちた偽愛の継承 霞んだ憧憬を 最期に名前を呼びたいな ページは破かれた そう、許されないことだって あなたが"正"と言ったんだ 光の無い世界を僕らは征く 綺麗な手に宿る 汚れすぎた教育を 満たされたその日に 黒く濁る空は死んだ 「何この写真…」 「どうしたの?お母さん。」 「知らない子が私たちと映ってるの。」 「何言ってるのお兄ちゃんじゃない。」 「メアこそ何を言ってるの?」 お母さんの戸籍を確認した時、 役所の人はひどく混乱したけど、 お兄ちゃんは違った。 "最初から兄などいなかった" 世界が狂っているのか、私が狂っているのか、 わからなかった。 嫌い嫌いあなたが嫌い 冬、閉じ込められた風景画だって 今は記憶の温度 ねぇ、壊れやすいものだって あなたが"真"と言ったんだ 縛られた世界を僕らは解く 綺麗な瞳に宿る 怖れすぎた失明を 受け入れたその日に 少女は過ちに気付く 1988年8月31日 山奥の車道で青年が乗用車にはねられたが、 一命を取り留める。 ドライバーは事故当初"2人はねた"と供述 していたが見つかっていない。 2000年4月4日、しかしこの男性が妻の出産直前 に原因不明の脳出血を来し死亡。 2014年1月24日、女子高生が校内で首を締められ死亡。 しかし当校の生徒ではなく身元がわかっていない。 2014年4月18日、 身元不明の青年が郊外の廃墟で自らの首を切り死亡。 匿名の通報により発見される。 死んだ後みんな忘れられるんだ。 この日記に書き込んだ人間、みんな。 お兄ちゃんはあの子を○したあと、 実現したかったことを確認して 日記を取り返すつもりだったんだろう。 けれど"○されること自体"が彼女の望みだった。 効力以外の力で上書きが可能なら、 あの日記は完璧じゃない。 私は絶対、 絶対にお兄ちゃんを忘れたくはない。 その最終列車が切り出した まだ代替生存憂いても 悲しいほど世界は振り向かない 唯それだけのこと 再会の無い暗い脳内 壊れかけた日記綴っても 悲しいほど世界は許さない 唯それだけなんだ 愛を頂戴 変わってく姿も 泣いて頂戴 記憶の中には 後悔さえも咲いて消えて (確かにお母さんには会えた。) 少し痛い体を私と受け取って (けどこれは私の本当の幸せじゃない。) 全てを終わらせるため、 もう一度家族に会うため、 メアは、最期の筆を取った。 「10年前に戻る。メア」 そう、許されない嘘だって (目の前に少し若いお母さんがいた。) 私が消してあげたいの ( 「お母さん、これに願い事を書いて欲しいの。名前もね。」) 愛された時間の ( 「あらとても古い本ね、いいわよ。」) 忘却だけは (それを見たメアの両眼から、雨が降った。) 「メアとナイトがいつまでも仲良しでありますように。ダリーナ」 形の無いものだって (これでお兄ちゃんは私のことも、お母さんのことも忘れるだろう。) 価値も未来も無くたって ( けど、それでもいい。) 消えてしまうことなんて無いもの。 馬鹿な兄を愛したこと。 10年後、母を忘れたナイトは日記に書き込むことはなかった。 10年前に戻る代償として、10年後に消えるはずだったメアの存在は、 ダリーナの筆によって上書きされた。 人は誰しも、死んだらきっといつか忘れられる。 けど忘れられるより、今ここにある気持ちが消えてしまう方が悲しいでしょ? 大嫌いなお兄ちゃん。 「なんてね」 「大好きなお兄ちゃん。」