[ti:] [ar:] [al:] [00:04.21]3人の可愛い姉妹と、吊り橋の下に潜む者。 [00:14.55]月は青く輝き、風は鳴り止まない。 [00:20.89]釣り橋の下、潜む獣、 [00:26.62]渡る者を貪(むさぼ)り喰らう、村人の噂(うわさ)。 [00:32.49]母親は病に倒れ、娘達は心に決めた。 [00:38.89]治す為の薬草は、谷の向こう。 [00:44.27]末っ子(すえっこ)は心配相に「ねぇ、取りに行けるのかな?」 [00:50.37]雲が月を隠し 星は瞬(またた)き始め、 [00:56.26]釣り橋の下、潜む獣、 [01:02.15]獲(え)物が来るのを待ってる、村人の噂。 [01:07.96]揺れる釣り橋の下、潜む者は真っ黒。 [01:14.12]長女は元気付ける様に、 [01:16.92]「絶対行ける!母さんの為なら全然恐くはないんだからね!」 [01:25.74]心の奥から滲み出た罪、形に為る心の矛盾(むじゅん)。 [01:32.10]「優しいと残酷って、一緒に居られるの?」と次女は言う。 [02:03.01]釣り橋は細く狭く、一人宛しか渡れない。 [02:08.86]最初に渡った末っ子は 出逢って仕舞うあの獣。 [02:14.78]震えて命乞(こ)いも無駄駄物、獣は叫ぶ。 [02:20.73]「次に渡ってくる子は、私より美味しいですよ! [02:27.02]私よりずっと可愛いし、どうぞ代わりにして呉れませんか?」 [02:32.70]末っ子はそう伝えると、獣は悩み、 [02:38.59]「そいつが来るのを待とうか、お前の代わり。」 [02:44.18]こうして末っ子は無事に釣り橋を渡る事、出来ました。 [02:51.18]釣り橋は細く狭く、一人宛しか渡れない。 [02:56.25]次に来て渡る次女も 出逢って仕舞うあの獣。 [03:01.99]震えて命乞いも無駄駄物、獣は叫ぶ。 [03:07.99]「次に渡ってくる子は、私より美味しいですよ! [03:14.37]私よりずっと賢(かしこ)いし、どうぞ代わりにして呉れませんか?」 [03:19.85]次女は丁寧に伝えると、獣は悩み、 [03:25.91]「そいつが来るのを待とうか、お前の代わり。」 [03:31.30]こうして末っ子は無事に釣り橋を渡る事、出来ました。 [03:37.64]最後に渡って来た長女は、同じ様に問い掛ける。 [03:43.33]震えて命乞いも無駄駄物、獣は叫ぶ。 [03:49.05]震えて命乞いも無駄駄物、長女も叫ぶ。 [03:55.32]角(つの)折って、皮(かわ)剥(は)ぎ、腸(はらわた)を抉(えぐ)って 、静かに為った。 [04:01.09]揺すられる釣り橋の上で、佇(たたす)む黒い仔山羊。 [04:06.96]手に入れた御薬を持ち帰り、涙が落ちる。 [04:12.68]ぼろぼろになって倒れてる、母親が居ました。 [04:18.75]角は折られ、皮を剥がされ、腸は抉り取られてました。 [04:48.44]月は青く輝き、風は鳴り止まない。 [04:54.85]釣り橋の下、潜む獣、 [05:00.51]渡る者を貪り喰らう、村人の噂。 [05:06.46]どうやらその潜む獣が、三匹に増えたらしい。 [05:12.07]お仕舞い