薄く切ったオレンジを アイスティーに浮かべて 海に向いたテラスで ペンだけ滑らす 夏の影が砂浜を急ぎ足に横切ると 生きる事も爽やかに 視えてくるから不思議だ カナリアアイランド カナリアアイランド 風も動かない 時はまるで銀紙の 海の上で溶け出し ぼくは自分が誰かも 忘れてしまうよ 防波堤 の縁取りに流れてきた心は 終着の駅に似てふと 言葉さえ失くした カナリアアイランド カナリアアイランド 風も動かない あの焦げだした夏に 酔いしれ夢中で踊る 若いかがやきが懐かしい もうあなたの表情の 輪郭もうすれて ぼくはぼくの岸辺で 生きて行くだけそれだけ カナリアアイランド カナリアアイランド 風も動かない カナリアアイランド カナリアアイランド 風も動かない