これは他愛(たわい)もない歌 一人部屋をなぞる歌 誰の耳もかすめない 僕のための歌 窓の外(そと)を飛び交(か)う 雑音(ノイズ)はどこか遠くで 今日も大事にひとつ 口ずさむ歌 ひとつ伝えたいのは むせかえるような無力感(むりょくかん) 空(から)の器(うつわ)へまた 嘘を注いでいく ふたつ数え 願うのは とても単純なこと 他の誰とも違う者でありたいだけ いつも肝心(かんじん)なとこで向かい風 慣れっこな自分と 「「ハロー」」やつれた声 重なって 明日が見えなくても 朝焼け染める街 始発(しはつ)電車に乗り 退屈な日々を貪(むさぼ)っていく 不格好(ぶかっこう)な獣(けもの) 丸腰(まるごし)の勇者(ゆうしゃ)に 与えられていた魔法は ただひとつ 歌うことだけ それは突然のこと ひどく偶然なこと 鳴りだすヘッドフォン×ミュージック 君へ もっと 君と もっと ねえ 手探(てさぐ)りのつたないメロディが 熱(ねつ)を帯(お)びだしていく たった一秒の出来事で世界が変わってしまっても 暗(くら)がりのむこうから 手を伸ばしてくれた むず痒(がゆ)くってなんか掴(つか)めなくて 虚空(こくう)をさまようよ 震えるこの声は どうしようもないくらいに 「ありがとう」伝えたいだけ 朝焼け染める街 始発電車に乗り 素晴らしき日々を彩(いろど)っていく 無神経(むしんけい)な怪物(けもの) 弱虫な勇者の 他愛もないストーリーを照らすのは ただ 歌うことだけ