月は朱く言祝ぐ。 貳の命を水底が擁む。 歪む。 今宵の星はきらり煌めき、水面の宙はひらり閃く。 幾重の痣に憑かれる儘に、己が罪を水鑿ぎて贖う。 -在リシ日ノ亊、夫婦ガ棲マヒシ獄ニテ- 理非成る撃は氣儘に際限無く、續く。 「頑是失きが如く!!」 永久の瘧は軈て、 泡沫の仔を孕む運命と露知らず。 「噫。」 慈悲無き暦を捲り捲りて 今は昔の縁と詠まぬ吾が疼くも 行かねば 誰が為とは言わすまして須く この連鎖を黄泉に歌いて常世へ送り 子守唄とせむなれ 果て無き獄世 終なる咎 女は鞏く柄を握り鬼が元へ。 唯壹つだけ、罪を背負う覺悟を蹶めた。 獄に響くは劈く末魔の哭びと、抉り餮る兇兇しき怨嗟の音 -斯クテ女ハ笑ミヲ浮カべル- 「此の仔の呱々の聲を聞く亊叶わずに現世を去る母を決して赦さないで。」