霧の向こう 森の奥に 囚われの姫 冷えた石牢の中で 人は恐れ声を潜め目を逸した 時はただ過ぎゆく 或夜に訪れた異国の少年 物言わず森へと 静かに姿を溶かした やがて森は「繰り返す歴史のように」 色を失い「秘密に形を変え」 土地は痩せて「一人去りまた一人」 もう誰もいない「戻りはしない」 霧の向こう 灰の森に 餐まれたという姫は 異国の王子と共に安寧の眠りにつく――