言葉をあなたに捧(ささ)ごう この僕(ぼく)の心と同(おな)じ憂(うれ)いを文字(もじ)に籠(こ)めて どれだけ綺麗(きれい)に描(えが)けたならあなたに届(とど)くのか 涙(なみだ)零(こぼ)した二つの少し離れた雨傘(あまがさ あなたの声が聞こえない 雨音(あまおと)が邪魔をした 初めて誰かに恋(こい)をしてた きっとあなたも気(き)づいていたね 胸を裂(さ)く切(せつ)なさを手紙(てがみ)に綴(つづ)ろう 言葉をあなたに捧(ささ)ごう この僕の心と同じ憂(うれ)いを文字に籠(こ)めて どれだけ綺麗(きれい)に描(えが)けたなら伝わるだろうか 言葉にできないなんて逃げ出せない まるで一人孤独な文学者(ぶんがくしゃ 僕が織(お)り上(あ)げた言葉でこそ 届けてみせたい 変(か)わらず空は晴(は)れない 二つ並(なら)んだ雨傘(あまがさ あなたの指に触(ふ)れた 雨音(あまおと)が遠くなる 拙(つたな)い手紙を渡(わた)したけど 雨に滲(にじ)んだ文字(もじ)が読(よ)めない それでも「ありがとう」とあなたは笑(わら)った 言葉をあなたに贈(おく)ろう もう一度いつか必(かなら)ず渡(わた)すと約束(やくそく)した そうする自分(じぶん)が悔(くや)しかった あなたの優(やさ)しさも 飾(かざ)らぬ心を書(か)けば幼(おさな)すぎて 姿(すがた)もない「誰か」に笑(わら)われた その時(とき)忘れてしまったもの 幸せの中(なか)に 寄(よ)り添(そ)う月日(つきひ)は黄昏(たそがれ)ゆく 僕らに残された時間は あと僅(わず)かだと知(し)っているのか 目(め)を閉(と)じあなたは呟(つぶや)く 「最後に願(ねが)いが叶(かな)うのならあの日の手紙を下(くだ)さい」と ただ言(い)い残(のこ)して眠(ねむ)りにつく 例えば「好き」と一言(ひとこと)の手紙(てがみ)でも あの人は大切(たいせつ)にしてくれたのだろう 本当は自分(じぶん)も分(わ)かっていた けどできなかった 心を綴(つづ)ることから逃げ出した 僕は一人 無力(むりょく)な文学者(ぶんがくしゃ 語(かた)ろうとしてた「誰」のために 誰のために だからせめてまたあなたに会(あ)うときは あの日の僕が続(つづ)きを渡(わた)すから ペンを走(はし)らせる窓の外に 雨音(あまおと)が響く