幼い頃から耳を澄ませば、 ほんとうに小さな音も聴こえて来た。 遠い雲が雨を手放す間に、木々の笑う声。 時と言う時はそう音楽になり、 欲しいものなどなかった。 どれほど強く望もうとも、 どれほど深く祈ろうとも、もう聴こえない。 あなたの命を聴き取るため、 代わりに失ったわたしのあの素晴らしき世界。 「GOODBYE!」 唯一の母親に、娘は漏れなく 取って置きの魔法をかけられているのだ。 青い海が陽射しを抱擁する様に、それは護られていく。 出会すシーンはすべてハイライトで、みな、 掛け替えのないキャストだった。 どれほど強く悔やもうとも、 どれほど深く嘆こうとも、帰れやしない。 わたしは今やただの女。 さよなら、あなた不在のかつての素晴らしき世界。 「GOODBYE!」