「二時間も待っていました 今日はもうこれで帰ります 二時間は長すぎました」 伝言板のチョークが折れて マニキュアの手に白が散ります ちょうど私が故郷を出た あの日の雪の淋しさに似て ノッポくん変って行くのはさみしいね あなたはやさしさ失さないでいて 顔より心と言ってたくせに きれいになれよってマニキュアの小壜 時の流れを五線紙にした ギターが部屋で錆びてましたね 卒業しても歌ってたいと 瞳にきらめいた夢と一緒に ノッポくん自由に生きてたあなたが 仕事の電話に御世辞覚えた 夢だけ食べてちゃ生きて行けないよと 言葉にひびわれたマニキュアの小壜 いつごろかしら あなたを囲む 綺麗なひとが眼についたのは レースの服にルビーのブローチ 愛を片手で遊ぶ人たち ノッポくんお化粧したって哀しい 銀に背のびを映しただけなの これから私は旅に出るつもり 海辺に沈めましょうマニキュアの小壜