この瞳(ひとみ)閉(と)じれば 忘(わす)れてしまいそうなものは 誰(だれ)にも告(つ)げること なくどこかで色(いろ)を失(うしな)い あなたの見(み)たこと、感(かん)じたこと わたしにはわからないけれど 信(しん)じること忘(わす)れずにもう一度(いちど) この街(まち)で約束(やくそく)をしよう 硝子(がらす)の瞳(ひとみ)には ありのままを映(うつ)して 心(こころ)に焼(や)き付(つ)けた 色(いろ)を見(み)つめていて わたしがまだ知(し)らない あなただけの色(いろ)には あの日(ひ)の美(うつく)しい 花(はな)がふわり、揺(ゆ)れる―― 言葉(ことば)で表(あらわ)せる ものばかり求(もと)めていたけど こんなにもありふれた ものを忘(わす)れてしまっていて わたしの見(み)たこと、感(かん)じたこと 「あなたにはわかるはずない」と 独(ひと)りで抱(だ)き締(し)めていたものだけが 捨(す)てられず伝(つた)えきれなくて…… 人(ひと)にはそれぞれの 心(こころ)の色(いろ)があるけど それを伝(つた)えること、恐(おそ)れてしまうから わたしは信(しん)じたい たとえ失(な)くしていても まっすぐに見(み)つめて あなたの言葉(ことば)を待(ま)つ 色(いろ)の無(な)い街(まち)の中(なか)、 朱(あか)い花(はな)を摘(つ)んだら わたしはその色(いろ)を あなたに尋(たず)ねるでしょう そのときはあなたの 「朱(あか)」をそっと教(おし)えて そして わたしが好(す)きだった 「朱(あか)」を覚(おぼ)えていて――