痛いほど冷えた指先を絡め 歩く冬の路を 風に揺らされた貴女の黒髪 靡いて頬を叩いている モノクロ映画のような世界で (私ひとりきり 佇んで) 薄氷の上に立つ私 風が舞う 崩れ落ちた未来 欠片拾い集め続けて 貴女と下る長い坂 転がり落ちるように 貴女のその瞼を下ろした お願い、振り向かないでね、と 「私を見ないで」なんて 「私だけを見て」なんて 矛盾した気持ち 抱えて彷徨う 知られてしまえば貴女は 私を赦せなくなるでしょう 教えてあげたい 貴女が触れている掌を 信じては駄目、と はらはら舞い落ちる 冷たい (空の欠片たち 剥れてく) 私の手に降り積もってゆく 羽根のように 目を閉じ線を引いて見せた それを越えるなら、と 戸惑う貴女に示す指先は震えていた こんなに醜い気持ちなのに どうして振り向いてしまうの 「愛して」なんて言えない 「赦して」なんて言わない それでもいいからそばに居させて 私が殺した淡い夢を 貴女はあとどれだけ生むの? 泡のように生まれては 泡のように消えてゆく 零れた涙は、静かに流れて……