[00:20.57]８月１５日の午後１２時半くらいのこと
[00:26.91]天気が良い
[00:30.59]病気になりそうなほど眩しい日差しの中
[00:36.95]することも無いから君と 駄弁 (だべ)っていた
[00:39.93]「でもまぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら
[00:45.60]君はふてぶてしくつぶやいた
[00:50.24]あぁ、逃げ出した猫の後を追いかけて
[00:55.61]飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機
[01:00.23]バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ
[01:05.25]血飛沫の色、君の香りと混ざり合ってむせ返った
[01:10.20]嘘みたいな 陽炎 (かげろう)が「嘘じゃないぞ」って 嗤 (わら)ってる
[01:15.25]夏の水色、かき回すような蝉の 音 (ね)に全て 眩 (くら)んだ
[01:30.53]目を覚ました時計の針が鳴り響くベッドで
[01:36.98]今は何時？
[01:40.56]８月１４日の午前１２時過ぎ位を指す
[01:46.90]やけに 煩 (うるさ)い蝉の声覚えていた
[01:49.88]でもさぁ、少し不思議だな。
[01:54.05]同じ公園で昨日見た夢を思い出した
[02:00.22]「もう今日は帰ろうか」道に抜けた時
[02:05.53]周りの人は皆上を見上げ口を開けていた
[02:10.22]落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる
[02:15.16]劈 (つんざ)く悲鳴と風鈴の音が木々の隙間で空廻り
[02:20.18]ワザとらしい陽炎が「夢じゃないぞ」って嗤ってる
[02:25.25]眩む視界に君の横顔、笑っているような気がした
[02:50.17]何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る。
[02:55.23]繰り返して何十年。もうとっくに気が付いていたろ。
[03:00.25]こんなよくある話なら結末はきっと１つだけ。
[03:05.17]繰り返した夏の日の向こう。
[03:10.23]バッと押しのけ飛び込んだ、瞬間トラックにぶち当たる
[03:15.32]血飛沫の色、君の瞳と軋む体に乱反射して
[03:20.19]文句ありげな陽炎に「ざまぁみろよ」って笑ったら
[03:25.24]実によく在る夏の日のこと。
[03:27.67]そんな何かがここで終わった。
[03:40.58]目を覚ました８月１４日のベッドの上
[03:46.91]少女はただ
[03:50.55]「またダメだったよ」と一人猫を抱きかかえてた