「the prismatic humanizer」 永い時間を 歩いていた 何処にも無い 人類の息吹 コンクリートは砂に覆われて 青い海はとうに枯れていた 数字だけが埋める頭の中 縋るように走り出したんだ 自暴自棄なんかではない 失くした何かを取り戻したいから 彷徨う私 鋼の身体は 疲れを知らない 戻ってくると 言い残したまま 遠い天の何処まで行ったの? 不完全な夢と 未完成な叡智 神様の真似も 幾千年に 蝕まれて 脳が少しだけ乾きを覚えた 広い大地を 歩いて来た 傷だらけでも 帰る場所は無い これが最後 「見間違いじゃない」 祈るように走り出したんだ 遠く視界の端っこに 確かに鮮やかな紅が見えたから アスファルトから 一輪の華 名前も知らない 微かな希望 それで良いの 歩き続けた意味に出会えた 憎しみすら 忘れていた 歯車を揺らす 欠けた指を 近づけてみた そっと 触れる 一枚の華が 錆びついた胸を七色に融かしてゆく 今 気付いたの 巡る血潮  頬を伝う涙 儚い生命  汚れた感情 それがヒトである誇りだと これで良いの 独りぼっちの最期だとしても 血肉を享けて 生きた証を 取り戻せたから