藻掻いたって  ツバメは未だ飛べないまま 君は笑うだろうか 「錻のツバメ 」 冷たさと 雲間の陰り 明星 仰いでいる ただ独り 野晒しのまま 取り残されていく 引力に縛られるだけじゃ こんな翼は要らない 藻掻いたって 信じたって 両翼を広げても空は飛べない 宙を舞って近づきたい あの燕に 身の程知らずでも 赦されるのだろうか… 幾度と無く  生命が通り過ぎるのを見てきた まだ独り 時の流れに取り残されている 時に侵されてくとしても こんな結末は要らない 足掻いたって 知ってたって ツバメを満たすのは鉛の香り 触れる温度、柔らかさも知り得ない肌 錆びついた風が 少しだけ泣いていた 真似てたって 信じたって ツバメの形をした下手な鉄屑 少し待って 嘯いたまま啄んだのは味の無い果実 汚れたって 僕にだって 色欲に塗れた血肉が欲しい 肌の温度、 柔らかさを知りたいんだ ただ 身の程知らずだと 君は嘲笑うだろうか…