[00:05.52]無彩色の街の輪郭に [00:10.50]夕闇がもうすぐ線を引く [00:16.82]向こうとこちらを隔てる風は [00:20.50]逃げてしまった金糸雀の [00:23.43]羽根の匂いをさせている [00:25.42] [00:30.10]痩せて剥き出す骨を鳴らして [00:33.58]また腹の虫がやかましい [00:38.31]あれはいつのことであったろう [00:43.60]愚かで醜い生き物に [00:46.60]もらった餌が懐かしい [00:49.47] [00:56.10]もう世界には誰もいない [01:02.52]でも世界はこんなに美しい [01:07.43] [01:11.26]人はどこへ行ったのですか [01:15.22]私の首に鈴をつけたまま [01:21.40]雨乞いの祈りの続きを教えもせずに [01:26.94]夜明けに消えた夢の続きを教えもせずに [01:31.63] [01:50.65]空き家の屋根に錆びたアンテナ [01:56.46]ちぎれた星の尾が掛かる [02:03.43]どこかの部屋に置き去りの [02:06.30]巻き残ったオルゴール [02:10.16]最後の音が静かに鳴った [02:15.36] [02:17.64]蓋をせねばならない記憶を [02:22.83]どれだけ抱えて生きていくやら [02:29.27]夕立ちが刺さった道の轍に [02:32.56]架かる虹を渡ってみせた [02:35.94]あの金魚売りも二度と来ることはない [02:41.19] [02:43.37]もう世界には誰もいない [02:49.00]でも世界はこんなに美しい [02:55.90] [02:57.41]人はなにを知ったのですか [03:03.58]ネズミの群れを水辺に誘い [03:10.30]つがいにしかなれない命の絶望に迷い [03:17.39]孤独にはなれない絆の希望に背いて [03:20.59] [03:24.59]人はどこへ行ったのですか [03:29.80]私の首に鈴をつけたまま [03:36.58]雨乞いの祈りの続きを教えもせずに [03:43.41]夜明けに消えた夢の続きを教えもせずに