光が呼ぶ方へ身を寄せて 羽根に纏った花粉の色に 春はゆっくりと 近づいてくる 句点のない詩のように 生まれたばかりの大地の涯を たどりながら その瞬間を留めておく者もいない荒れ地で 蝶に委ねて かすかに潤う 輪廻の継ぎ目 何度生まれ変わったでしょう 時間の糸が 命を紡ぐ 母さんの声を 覚えてますか 父さんの背中を 覚えてますか 聴こえてくるのか 思いだすのか わたしが誰かを 促すき 囀る鳥に枝を貸し うつつの道をふと逸れて 空の青さを埋め尽くす 人を狂わす桜でしょうか それとも 意味も告げずに野に揺れる 戀を占うすみれでしょうか わたしは ただ はじまりの種 どんな花が咲くのか まだわからない 導かれても 迷い続ける 夢の途中で 夢を見る 流れる雲の影を追い 叶わぬ願い手を合わせ 風に思いを悟られまいと 凪に色づく椿でしょうか それとも 夢のあとさき惑わせたがる 触れてはならないあざみでしょうか わたしは ただ はじまりの種 どんな花が咲くのか まだわからない 導かれても 躊躇い続ける 夢の途中で 夢を見る 光が呼ぶ方へ身を寄せて 羽根に纏った花粉の色に 春はゆっくりと 近づいてくる 句点のない 詩のように 時を たどりながら