黒い山羊が呟いた 「白線よりお下がりよ」 鈍色電車通り去って 隣で猫が問い掛けた 「アナタは何処に向かうんだい ここらも直に死んじまって」 赤の手首携えて 私一人ふわり根無し草 錆びた水を飲み込んで 次の駅 [03:07.05 帰りの電車は何処にも無いわ [02:03.86 声が聞こえた ような気がした 枯れた花は呟いた 「感情が無い、感情が無い」 心は憂い夕を吐いて 蝉の泣いて墜ちる頃 電線が裂いた赤の下 立入禁止蹴っ飛ばして 猛り影がドロドロと 零れ出す 「見えない」と 泣いて泣いて 私の想いを 探してるわ 鳴らぬ電話の 命は何処へ 茹る茹る 環状線 ここには無い ここに終点は無い 左 左 右で鳴る 踏切りの音 カンカラリンドウ カラスは言う 「あの頃にはきっと戻れないぜ」 「君はもう大人になってしまった」 終わらない輪廻を 千切っておくれ [03:31.50 あの日私は大人になった 絶えず想う二人一人 暮れ落ちた言葉は 取り返せずに クルクル回る環状線を 「一人憐れに歩めや少女」