深く潜る無念を抱いて 息が詰まる程透き通る海底 寂しくて泣き疲れてまた泣いて 人影がまた一人増える海底 うねる大海原命は泡沫 呆然としながら海から見た朝 永久停泊その場で 動けないでいた そこに確かに落とした錨が作る 通り道を辿り海底に光が差す 面舵一杯まだ見ぬ 世界へといざ行かん 燦々と輝く太陽目指して進路は 西へひたすら 胸が踊る程の好奇心 無謀と笑われた航路への挑戦状 水平線上目深に被った船長帽 燻らすパイプうみねこが鳴く 波が高くなる 慌てる船上暗雲の中探す 陽が刺す場所 困難極める航海大時化 突破し大波乗り越え 気を引き締めろ 例え死んでも辿り着くのだ ある晴れた日に見た 景色がまだ消えないまま この海の果てには何が あるのか知りたいから そんな事に意味も無い 狭い視野の人ばかり 嫌気差すただ世界の 行き止まりを見てみたい ある晴れた日に見た 蜃気楼が忘れられなくて 広大な海の浮き沈みざわめく波 そこに確かに落とした錨が作る 通り道を辿り海底に光が差す 数ある伝承それが例え 眉唾物でも連想せざるを得ない 知りたくて眠れない 夢見る果ての世界 話しても足らず冒険心もたらす 誰かに言われたからではなく 生まれたからにはさ 意地でも探す 馬鹿にされては息巻いて手が出た どうやら頭がおかしいと 言われてた あいつらは間違っていた 未だ道半ばでもそれだけは確信的 どこを見ても夢の様に美しい海 沈みゆく西滲んだ航海日誌 そこに確かに落とした 錨が作る通り道を 辿り海底に光が差す 波に揺られ動く島 手の平サイズの鯨 星まで届きそうな サンゴ礁のような何か 手足の生えた魚は 後ろ足が美味かった やたらと首が長い生物には きっとまだ名が無い 波を乗り越える度に 新たな風音が聴こえる旅路 舟が浮いてる海水の透明度 喜びと発見の連続 あんなに遠く離れていた陽が 目の前で沈む景観 ある晴れた日に見た 景色がまだ消えないまま この海の果てには 知りたかったものがあった 遂に見た景色に息を呑んだ 目尻に溜まる涙止め処なくも 言葉だけが出てこない ある晴れた日に見た蜃気楼が 姿を現して 暗がりから見てる 視線が泡と共に消える そこに確かに落とした錨が作る 通り道を辿り海底に光が差す 取舵一杯これから英雄の凱旋だ 生暖かい風にいつもより うみねこが鳴いていた いつしか鮮やかだった コバルトブルーが じんわり黒くなる 影を潜めた日差し 緩くなる速度に不安 まだ動くはず 突如の雷鳴夜空が泣いてる 冷や汗混じり近くなる海面 視界遮る雨粒のカーテン どうして今何故何で 今度は皆で行ってあの景色を 一緒に見るんだもう一度 跳ねた舟重力が無くなる 上も下も分からなくなる 深く潜る無念を抱いて 息が詰まる程透き通る海底 寂しくて泣き疲れてまた泣いて 人影がまた一人増える海底 うねる大海原命は泡沫 呆然としながら海から見た朝 永久停泊 その場で動けないでいた そこに確かに落とした錨が作る 通り道を辿り海底に光が差す あの時見つけた 景色がまだ消えないまま 人伝の話 前人未到のあの海域にまつわる話 何故か皆 その海域の手前で居なくなる なんでも舟幽霊が出るらしい