[00:00.830]谷の底には大きな工場があって、 [00:05.731]木を切る音が、ビィンビィン、としていました。 [00:12.750]小鳥は工場の門の上に止まって、 [00:17.432]「門さん、私の仲良しの木は、どうなったか知りませんか。」 [00:24.246]と聞きました。 [00:28.100]門は、 [00:29.647]「木なら、工場の中で細かく切り刻まれて、 [00:34.381]マッチになってあっちの村へ売られていったよ。」 [00:39.077]といいました。 [00:42.583]小鳥は村のほうへ飛んでいきました。 [00:46.770]ランプの側に女の子がいました。 [00:51.010]そこで小鳥は、 [00:54.206]「もしもし、マッチをご存知ありませんか。」と聞きました。 [01:02.901]すると女の子は、 [01:06.466]「マッチは燃えてしまいました。 [01:10.216]けれどマッチのともした火が、 [01:13.442]まだこのランプにともっています。」といいました。 [01:20.150]小鳥は、ランプの火をじっと見つめておりました。 [01:27.140]それから、去年の歌を歌って木に聞かせてやりました。 [01:34.737]火はゆらゆらと揺らめいて、 [01:39.136]心から喜んでいるようにみえました。 [01:43.391]歌を歌ってしまうと [01:45.943]小鳥はまたじっとランプの火を見ていました。 [01:52.183]それから、どこかへ飛んでいってしまいました。