澱んだ路地裏石蹴飛ばせば ぎらっと黒猫振り向く目と目 橙の夕暮れ黙って引きずる 重い足元に嫌に伸びた影 風つかまえて 夕空ひゅるりと物知り顔した カラスが見下ろす人のざま のんべんだらりらっとだらりらっと 生きたあたしに悲しい報せ告げるように いま天から使い舞い降りた 真っ黒いからだ同士通じ合って 秘密のいけない打ち合わせをするように夕闇に響く カアとカアとニャアとカアとニャアゴ 不穏な路地裏迷ってドン突き 行くも戻れぬ地獄一丁目 子らの落書き路傍のタンポポ 悪戯に吹く白綿の羽根 風ながされて 夕空ふらふら何食わぬ顔で 見知らぬ街まで飛んでけほれ まんべんなく笑ってなんとなく 生きたあたしを憐れんで嘲笑うように 黒猫とカラスがニヤニヤ 真っ黒い目で睨んでさよならって 最後に言い残す言葉をせがむように不気味に響く カアとカアとニャアとカアとニャアゴ 黒猫見あげた人のざま 何遍でも迷って行き止まって 生きるあたしを呆れながら諭すように 黒猫とカラスがニヤニヤ 真っ黒い目で睨んで馬鹿だねって 最後にやり残したことは何だね? って問い質してる カアとカアとニャアとカアとニャアゴ