彼は言う「ノロマな時計(とけい)だ」 針(はり)は数 ミリだけ動(うご)いた 彼は「飽(あ)きたぜ」と漏(も)らして メロンパンを少し 残した 机(つくえ)に入れた手紙はこれで 九通目(きゅうつうめ)になりました まだ返事はなく今日は 待っています 彼の世界を 覗(のぞ)きたいのに 視線(しせん)が 合(あ)うことなくて テレパシー送(おく)れば深層(しんそう)分かるかしら ジョニーだけが アイツのこと 気(き)づいていた 明日が決行(けっこう)の 時なんだと 特別(とくべつ)かける言葉も なかった 財布(さいふ)に あった五千円を渡(わた)した ノロマな針(はり)変わらず 知らぬ39の 盲目(もうもく)に動き出す 変わる40番目(ばんめ 彼は言う「ノンキな時計(とけい)だ」 針(はり)は数 ミリだけ動いた 彼は「飽(あ)きたぜ」と漏(も)らして カレーパンを少し 残した 鞄(かばん)に入れた 手紙はこれで 十通目(じゅうつうめ)になりました 渡(わた)せる日がくるまで 待っています 背後(はいご)に送る 視線のはずが そこには何にもなくて 両手(りょうて)を伸(の)ばしてみても 触(ふ)れられない ジョニーだけが アイツのこと 分かってた 世界をその目で 確かめたいと ほんとはかける言葉 探(さが)してた 唇(くちびる)噛(か)みしめ 羨(うらや)ましさ 飲み込んだ 正解誰も分からず 知らぬ39の他人様(たにんさま 唐突(とうとつ)に 焦(あせ)り出(だ)す 変わる40番目 彼はもう 家に帰らない 春がもう 迎(むか)えに 来ていた 「先に行くぜ」と残して 手紙と五千円 握(にぎ)り締(し)めた 電車乗り換(か)えて お腹(なか)も その度(たび)減(へ)ってく 残したパンの味(あじ) 少し思い出す 「食べときゃ 良かった