これにきこゆる おなみだばなし むかしむかしの こいばなし 「月」と掛けて「乙女」と説き、語りましょうか。 欠けたる月が ふたりの影を もののあはれに 笑います その身が 満ちることなどないと、笑います。 わたしは、お待ち申しとります。 あたしゃ、奪いにゆきましょか? 「さぁさ、右へ」 「いや、左へ」 どうぞ、こちらへ。 いやいや、こちらへ。 …お好きな道を とおりゃんせ 嗚呼、かなしかなしや こいごころ たのしたのしや こいごころ さあさ、どちらの 乙女ごころを …おきに召しましょか? なら、けなげに尽くしましょう。 いや、この身で 誘いましょか? その心も。 その体も。 …けして、のがしゃいたしませぬ…