夢違(ゆめたが)え、幻(まぼろし)の朝靄(あさもや)の世界(せかい)の記憶(きおく)を 現(うつ)し世(よ)は、崩(くず)れゆく砂(すな)の上(うえ)に 空夢(そらゆめ)の、古(いにしえ)の幽玄(ゆうけん)の世界(せかい)の歴史(れきし)を 白日(はくじつ)は、沈(しず)みゆく街(まち)に 幻か、砂上(さじょう)の楼閣(ろうかく)なのか 夜明(よあけ)け迄(まで)、この夢(ゆめ)、胡蝶(こちょう)の夢 夢違え、幻の紅(くれない)の屋敷(やきし)の異彩(いさい)を 現し世は、血(ち)の気(け)ない石(いし)の上に 空夢の、古の美しき都(みやこ)のお伽(とぎ)を 白日は、機(えが)れゆく街に 日々(ひび)の瀬(せ)に、流(なが)されて 諦(あきら)めに、囚(とら)われて 手放(てばな)せぬ拘泥(こだわ)りが、 我(わ)が身(み)の自由(じゆう)を奪(うば)っていく 鳴呼(ああ) 在(あ)りし日(ひ)を偲(しの)べば、幼子(おさなこ)の夢 からから風車(ふうしゃ)、幾年(いくとせ)越(こ)えて来(き)ただろうか 夢違え、土塊(つちくれ)の洞穴(どうけつ)に揺(ゆ)らめく鬼火(おにび)を 現し世は、行(ゆ)き詰(ず)まる道(みち)の上に 空夢の、古の妖(あやかし)の使(たよ)りの雅(みやび)を 白日は、歪(ゆが)みゆく街(まち)に 幻か、砂上の楼閣なのか 夜明け迄、この夢、胡蝶の夢 夢違え、幻の朝靄の世界の記憶を 現し世は、崩れゆく砂の上に 空夢の、古の幽玄の世界の歴史を 白日は、沈みゆく街に 麗(うるわ)しき夢、愛(いと)おしき夢 咲(さ)き誇(ほこ)る夢に涙(なみだ)を誘(さお)われて 愚(おろ)かしき術(すべ)、浅(あさ)ましき術 小賢(こざか)しき術が蔓延(はびこ)る現し世で 限(かぎ)りなき夢、終(お)わりなき夢 抱(だ)き締(し)めるだけ (彼方(かなた)と此方(こなた)を隔(へだ)てる境界線(きょうかいせん)を越(こ)え)