君を乗せた方舟 寄せては返す波に素足をそっと浸して 崩れた砂の城に佇む君を見つけた 何度も消した夢を再び描く少女の 光を閉ざしながら未来を透かした瞼 星が落ちた世界の方舟(ふね)で 人知れずに漕ぎ出す 冷たい海を漂う王国の欠片に 呼び止められた主(あるじ)のなき身体 幾億の塵(ちり)を集めて 歴史を刻む古の海路(みち)を示す 波間を進む君は視えない星に囚われ… 静寂を壊しながら魂(こころ)を癒やした涙 流れてゆく小さな方舟(ふね)は 行き先さえ語らずに何処へ向かう? 氷の海に沈んだ王国の欠片を 抱きつづけた蒼き都市の底で 悠久の刻を数えた記憶の亡骸は やがて泡に溶ける