『ロートシルトRh-』 ここには何(なに)もない どこまでも暗(くら)く 退屈(たいくつ)な偽(いつわ)り 意味(いみ)のない苛立(いらだ)ち そう こんなにもひろく つめたい時間(じかん)のなかで いつかきっとこころは朽(く)ちて 圧(お)しつぶされてしまうだろう ここには何(なに)もない 残酷(ざんこく)な距離(きょり)と 不確(ふたし)かなつながり いくつかの過(あやま)ち まだ こんなにも強(つよ)く 自由(じゆう)な牢(ろう)のなかで とまどなく流(なが)れて落(お)ちる そのきれいなものに気(き)づかない ほら こんなにもひろく つめたい時間(じかん)のなかで ひとつだけ残(のこ)されものは イマという一瞬(いっしゅん)だったのに いつもそれに気(き)づかない いつも少(すこ)しだけ届(とど)かない だからきっと必要(ひつよう)なものは 生(い)きているという感覚(かんかく)だった 終わり