きみは世界を救う英雄になると決めた まだ年端もゆかぬ少年なのにどうやって でもきみはない知恵を絞って考えた 賢人と呼ばれる人を集めよう ある時は火山に暮らす魔法使いに ある時はガラスの向こうの研究者に ある時は難攻不落の城の王に ある時は無敵とされる女戦士に 何千万キロの道をきみは歩いた でもきみはただ若い旅人でしかなかった 結局誰も集まってはくれなかった でも歩き続けるきみにこう説く ある人は希望の船を見つけてそらへと ある人は死刑する人と助け合ったと ある人は忘れた笑顔を取り戻したと ある人はほんとの花を咲かせてみたと 少し逞しくなったきみは無力なことを悟った 英雄なんてもういい せめて笑顔を送ろうと決めた ある日は道化師の格好をして踊ってた ある日は紙芝居を作っては聞かせた でも笑ってくれるのは子供たちばかりで でもきみは子供たちの立派なヒーロー ぼくは好きだよ