砂に並んだ炬火(キャンドル)の灯(ひ)が波打際 打ち寄せられた 夏のボートの年代(もじ)を読んだ 水時計に雫(おち)る生命(いのち) 青いままのすい星 記憶の隅軋(きし)んだ風の音(いろ) 頬にささやく幻が 遠い九月をつれてくる 瞳濡らし 淡い想いの行く先を 恋と知らない少年が 秘密だよって見せてくれた 夢砂の城 朽ちたボートであなたが あの日のままで眠る 星座(ほし)が糸引く海岸線に迷い込んだ 人のさざめき 誰も少年(あなた)のこと知らない 冷たい指握られてた 見覚えあるブローチ 名前のない気持ちを伝えたくて 薄紅(あか)い貝殻(ユリア)の胸飾り そっと外して差し出せば 微笑(ほほえ)んだね あなたひとりが時を止め 同じ想いでいたんだね 青い水面(みなも)を震わせながら 肩を抱きしめ 見知らぬ大人(ひと)が 私の名前を呼(よ)んでいるわ