そして翌日。俺と渚は、ふたりで役所に婚姻届を提出した。 岡崎渚…岡崎渚…岡崎、渚… なんだよ、さっきからずっと えへへ、岡崎って苗字、男らしいです それは、俺の苗字だからだろ? 古河は女性っぽいです それはおまえの苗字だからだ そうでしょうか。 やっぱり、岡崎渚って名前だと強くなれた気がします そうか? なんだか…守られてる気がします …… 変、ですか? おまえさ、よくそんな恥ずかしいこと言えるよな 昔言ってました。 朋也くん、自分を転げさせるぐらい恥ずかしいこと言えって そうだっけ? だから言います、わたしは今、世界で一番、幸せな女の子です おい、こんな道の真ん中で、恥ずかしいだろうが 朋也くん うん? ふたりで、幸せになりましょう ああ かんぱいーー!!! これからは、お義父さんと呼ばしてもらうからな っ、ぞくぞくきたぞ。やめてくれ、縁起でもねぇ だって実際、義理の父なんだぜ? んーおまえがそう言うんだったら、息子と呼ぶぞ、息子よ! さぶーっ、やめてくれ、お義父さん! へっ もう、朋也くんもお父さんも わたしも入っていいですか 早苗さんはさぶくならないしょう 呼んでみてください お義母さん はいっ なんか、照れちゃいますね バカ、母親に照れてんじゃねぇ。で、式はいつ挙げるんだよ 金が貯まってからだな かぁっ、なんでこんな貧乏の奴と結婚しちまったんだ 好きだからです 正直に答えるなよ、父さん悲しくなるだろ 秋生さんも人のこと言えませんよ なにかだ 秋生さんも、ぜんぜんお金なかったですよ えっ 借金して、この家を買って、お金を返すのに毎日必死でした 結婚式も2年も後のことでした そう…だったかな でも、わたしは幸せでしたよ え 秋生さんといつも一緒にいられましたから さ、早苗…てめぇら邪魔だ! 俺たちのお祝いじゃなかったのかよ! つまり、わたしが言いたかったのは、 好きな人と一緒にいるのが一番、ということです はい、なら朋也くんです くそぅ、なんだかムカツクだよな… ったく、どうしてこんな奴をウチの娘は好きになったんだ? 秋生さん、今日はおめでたい日ですよっ お父さんは、祝ってくれないんですか? んなこと、ある訳ねぇだろ…ちくしょ、もう一回乾杯だ! これまで家族のようなものだったが、 俺たちは今日から、本当の家族になった。 ただいま ただいまです なんだか、部屋が違って見えます 俺も今、同じことを考えてたよ 今日からまた、新しいスタートです 渚、ずっとそばにいてくれるか はい、ずっとそばにいます どんな時も、いつまでも どんな時も、いつまでもです 俺は、渚を幸せにする 朋也くん… 渚、いつまでもふたりで、生きよう