ざわわ… 広いさとうきび畑は ざわわ… 風が通りぬけるだけ 今日も 見渡すかぎりに みどりの波がうねる 夏の日ざしのなかで ざわわ… 広いさとうきび畑は ざわわ… 風が通りぬけるだけ 昔 海のむこうから いくさがやってきた 夏の日ざしのなかで ざわわ… 広いさとうきび畑は ざわわ… 風が通りぬけるだけ あの日 鉄の雨にうたれ 父は死んでいった 夏の日ざしのなかで 知らないはずの父の手に だかれた夢を見た 夏の日ざしのなかで ざわわ… 広いさとうきび畑は ざわわ… 風が通りぬけるだけ お父さんて呼んでみたい お父さんどこにいるの このままみどりの波に おぼれてしまいそう 夏の日ざしのなかで ざわわ… わすれられない悲しみが ざわわ… 波のように押し寄せる 風よ 悲しみのうたを 海にかえしてほしい 夏の日ざしのなかで ざわわ… 風に涙はかわいても ざわわ… この悲しみは消えない