深き闇 遠くわたし を呼んでる 目醒めない 悪夢(ゆめ)のように 断ち切れぬ宿業(さだめ) 腕を絡める わたしは幾つの夜 を彷徨う花 人は泡沫 傀儡(かいらい)のよう 視えない糸に 曳かれ操られ 踊るだけ 罪も罰も欲望も享楽も 揺蕩ながら密やかに 黒い淵に沈み ゆくだけの轍 時代(とき)は陽炎 映し絵のよう この世に穿つ確か なものなど何もない 時の小舟に揺られ 流されながら 誕もがあて処なく 孤独を彷徨うの この胸に深く刻まれた証 報われぬ罪の色 血を流す心 癒えない傷と 行き場を失くした 思いの欠片は 何処へ消えて ゆくのだろう そらは銀幕 天蓋のよう 罅割れた翳 細く絡みあいのびてゆく 希望(ゆめ)も心も 痛みもとうになくした わたしは時の闇 果てなく彷徨うの 哀しみは胸に傷痕を残し 血の色の蝶になる 欠ける月 満ちる闇は芽を吹く 壊れた世界に 咲く月光の花 深き闇 今もわたしに囁く 繰り返す悪夢(ゆめ)のごと 忘れ得ぬ 楔枷(くびき) 脚を絡める わたしは終わらぬ 罪のはざまを旅して 夜を彷徨う花