[00:00.010] [00:52.890]三つ折りにした手紙 [00:56.060]ふすま越し 背な合わせ [00:59.220]もう逢えぬやも知れぬ [01:02.370]せめて一目 [01:05.620]衣擦れの音 かすかな吐息 気怠さまじり [01:12.000]青い火の燃ゆるは過去の昔 [01:18.400]紅鮭の解した身のごとく [01:21.730]朝はしごく軽やか [01:24.800]灯篭の佇まいのごとく [01:28.100]夜は密かに [01:31.420]逆さまの影と狐火の往く [01:37.760]賢しらの猿は金切り声 [01:44.030]びりりびりりと破られる音に [01:50.500]手遅れの気配が胸をしめる [01:57.030]控え目に抱き寄せた腕 [02:03.210]一抓り 白い指 [02:06.100]今更よ 莫迦ね [02:09.770]薄い微笑みに隠れた意味を [02:16.030]見落としていた訳ではないけど [02:22.000] [03:13.650]三つ叉の道の先うなる烟の都 [03:20.090]もう何もが違えば [03:23.210]此処は何処 [03:26.520]人波は早過ぎて横目に嘲りまじり [03:32.850]可哀そうに あの御方 化かされたね [03:39.200]朝焼けの眩しさは [03:41.510]いつでもあくびののち忘れて [03:45.650]夕焼けの怪しさは [03:48.180]いつまでもこびり付いたまま [03:52.080]路地裏の陰を黒猫が行く [03:58.480]傘売りの翁はささやき声 [04:04.890]ひらりひらりと舞う紙吹雪に [04:11.360]遅過ぎる涙が頬を伝う [04:17.700]知らぬ間に差し出した指 [04:24.020]一掴み 知らぬ腕 [04:26.860]あら 何方かしら [04:30.510]薄い微笑みの意味など既に [04:36.360]有耶无耶のままに霞んで消えた [04:43.330]