「えっと、どうしようか」 「考えてなかったのかよ……」 「どっかお店入ったほうがいいんじゃないかな?」 「そうですね。じゃあ、何食べましょうか?」 「ふむ。何肉にする?八幡」 「肉決定かよ……」 「牛肉、豚肉、鶏肉、焼肉。桜に、かしわに、牡丹にもみじ、マトンもラムもなんでもありだ!」 「肉マニアめ……。ていうか、鶏肉とかしわ一緒だし……」 「あ、小町もお肉、さんせー!」 「あたしもお肉な感じかなぁ。おにくー!」 「いえー!おにくー!」 「私は……気分的には魚介系かしら。……伊勢海老」 「何、好きなの?伊勢海老」 「ぼくは、野菜メインだと嬉しいな」 「私も野菜だな。……アンチエイジング」 「一人だけ理由が深刻すぎる……。それにしても見事にばらばらだな」 「そういうあなたはどうなの?……何か食べたいものはないの?」 「ああ、そういや希望言ってなかった。 グループ行動のときとか人に意見聞かれることないから、言うの忘れてたわ」 「悲しい習性ね……。今日くらいは、自分の希望を言ってもいいと思うけれど」 「そうか。なら、炭水化物系で」 「ふむ。肉に魚介に、野菜に、炭水化物……。 そういうことであれば、私のほうで少し考えてみよう」 「でも、このあたりだと、いろんなクラスとかち合いそうね。 あまり混み合わないところがあればいいのだけれど」 「だな。お互い視線ちらちら交わしてるのに、絶対に近づかない微妙な空間とかいたくねぇしな」 「やな言い方……。けど、どっか穴場なお店ってあったかなぁ~?」 「そういえば、そういうのに詳しい奴がいたな……。少し待っていたまえ。ちょっと電話をしてくる」 「詳しい人……、誰だろうね?」 「ああ、急に悪いな、私だ」 「さぁな……。けど、穴場スポットに詳しいっつーのは遊び慣れてるってことだろ、 ろくな人間じゃなさそうだ」 「すっごい偏見だ……」 「確かに偏見ね。遊び慣れていなくても、ろくでなしな人っているものね。誰とは言わないけれど」 「おい、そのちょっといい笑顔でこっち見んのやめろ」 「待たせたな。駅な過ぎたところにいい店がある。肉も魚介も野菜も食べられるぞ。 店は押さえたからそこにしよう」