「さてさて、この辺でいいかなー」 「結局また学校の近くまで戻って来ちまったな……。 で、何食べるんだ?ラーメン?それともカレーか」 「せっかくなんだし、もっといいの食べに行こうよ」 「おっと、その言葉は聞き捨てならないな」 「げ、平塚先生」 「ラーメンは素晴らしい食べ物だ。もはや日本のソウルフードといってもいい。 昔からいうだろう。一に曰く、めんまは和らぎを以て尊しとなす。 二に曰く、アツアツの三宝を敬え。三宝とは麺、具、スープなり」 「なにそのラーメン十七条憲法……」 「あ、せんせー。遅かったですね」 「すまない。ちょっと文化祭の事後処理に手間取ってな」 「小町が呼んだのかよ……」 「小町ちゃーん」 「結衣さん、雪乃さん。やっはろー!」 「やっはろー!」 「こんばんは」 「由比ケ浜と雪ノ下?お前ら、後夜祭行ったんじゃないのか」 「うん、行ったよ。で、皆と乾杯してひとしきり騒いで抜けてきちゃった」 「大丈夫なのか、それ」 「平気平気。たくさん人いたし、 ああいうのって最初と最後に近くにいた人のことしか覚えてないから」 「この子、言ってることがときどき怖いのよね……」 「ていうかそれより、これなんで集まって……」 「八幡!」 「戸塚……どうしてこんなところに……」 「あ、さいちゃんとも会ったから誘っちゃった」 「誘っちゃったって。だから何に……。というか、戸塚も後夜祭、行ってたのか」 「うん、ぼくも顔だけ出して出てこようと思ってたから、誘ってもらえてよかったよ」 「なん……だと……。戸塚がいると知っていれば俺も後夜祭に行ったのに……」 「あ、八幡も後夜祭行く気だったんだ。じゃあ僕も残ればよかったかな……」 「いや、大丈夫だ。今この瞬間、後夜祭に行く理由は消滅したからな! それで、この集まりは一体……」 「とう!剣豪将軍義輝!定刻どおりにただいま参上」 「説明聞く暇をくれよ……。で、なに、なんで材木座までいんの。 ねぇ、ちょっと、これ誘ったのだ~れ~?」 「我を誰だと思ってやがる!八幡が行くところにはだいたいいるぞ!」 「だからそれ気持ち悪いから……。お前、俺のこと好きすぎてしょ? ていうか、小町、なんでこれ集合したんだよ」 「お兄ちゃん、ここからが本当の後夜祭だよ!疲れをパーっと吹き飛ばそうよ!」 「いや、俺は疲れたときこそ家でゆっくりしたいタイプの人間なんだけど……」 「いいじゃんいいじゃん!あたしたちの打ち上げってことでさ」 「えー……」 「観念したら?私も最初だけ付き合って早く帰るつもりだったけれど、 もう諦めたわ……」 「……はぁ」