福部里志:CDドラマ「氷菓」 「世界氷菓劇場-シンデレラ」 福部里志:昔々、ある所に、とても優し...こふん、省エネで極度に面倒さがりが女の子がいました 折木奉太郎:おい 福部里志:人生そのものが灰色な彼は、「灰かぶり」という皮肉を込めて、「シンデレラ」と呼ばれていました 折木奉太郎:酷い言われるようだな 福部里志:もう、奉太...じゃなかった、シンデレラ、語り部役に話しかけるなんで野暮だと思われないかい 羽場智博:シンデレラ、シンデレラ  福部里志:んっほらほら、お姉さまかたがお待ちだよ 折木奉太郎:後で思えでろよ、里志 折木奉太郎:ここにいますが、なんですか 羽場智博:そんなとこにいたのかシンデレラ、呼んだら素早く来てくれないか 福部里志:彼女はでしゃば...行動的な三女の羽場お姉さま 羽場智博:今、デシャバリって言おうとしたよな 福部里志:何のことでしょう 羽場智博:お前は誰だ 福部里志:語り部です 羽場智博:なんで語り部がシンデレラの横に居るのだよ...まあいい、シンデレラ、これを作ろでおいてくれ 折木奉太郎:なんですかこれ 羽場智博:見て分からないのか。ダメだなそんなことじゃ、いや、無理もないか。このドレスは、かの有名な 折木奉太郎:なぁ里志、帰ってもいいかな 福部里志:ダメだよ奉...じゃなかった、シンデレラ、主役がいなくじゃ話が進まないだろう 折木奉太郎:のっけから酷くつかれるんだが 福部里志:悪意すら感じるよね 羽場智博:分かったか、シンデレラ 折木奉太郎:あぁ、はい、分かりました。羽場お姉さま 羽場智博:じゃ、やっとけよ 澤木口美崎:なになに、シンデレラ、羽場お姉さまに用事付けられたの 福部里志:彼女は自由奔放な次女の澤木口お姉さま 澤木口美崎:シンデレラ、語り部さん、チャオ~(ciao) ジ~~~~~ン 澤木口美崎:分かってない、分かってないなシンデレラ、ここで沈黙なんかしちゃ放送事故だと思われちゃうでしょう 折木奉太郎:相変わらず色んなしがらみを平気で飛び越える人ですね 福部里志:本当にね。これからの進行のためにも、なるべく早々に退場願い人NO.1だよ 澤木口美崎:んじゃ、改めて、二人ともチャオ~ 折木奉太郎:チャオ... 福部里志:チャオ 澤木口美崎:私も何か言いつけようかな...ん~と、何にしようかな。って、やぁばっ、もう四時じゃん、見たいテレビあったんだ 折木奉太郎:世界観にそぐわない用事を口にしないでください 澤木口美崎:じゃね、二人とも 中城顺哉:シンデレラ!! 折木奉太郎:はあ... 中城顺哉:これは一体どういうことだ 福部里志:彼女は、長女の中条お姉さま。熱意が溢れ過ぎてる人です。 中城顺哉:シンデレラ、廊下を掃除しておけって言ってただろう 折木奉太郎:やりましたよ 中城顺哉:これを見てみろ、隅っこの方には拭き残しがあああるんじゃないか、コラ、コラ、雑巾掛けの基本がなってないんじゃないか 折木奉太郎:「基本」ですか 中城顺哉:こう、腰を入れただな 折木奉太郎:うん...よくわかりませんね。ちょっと手本を見せてくれませんか 中城顺哉:ん?しょうがないやつだな。よく見とけよ、ウオォォォォォォォォォァァ!!! 折木奉太郎:よし、さっさと進めるか、里志。 福部里志:強制排除したね、奉太郎 折木奉太郎:熱意ある中条先輩に、敬礼! 折木奉太郎:ん?意地悪な姉たちはこいつらってことは、継母はまさか 入須冬实:オイ、お前たち 折木奉太郎:やっぱり 福部里志:彼女は、入須お母さま、まさに女帝を体現したような人でした 羽場智博:なんか、入須お母さま 澤木口美崎:もう、テレビ途中なんだけど 中城顺哉:どうした 入須冬实:今夜、城で舞踏会が開かれるらしい。その舞踏会には、私たちも参加することになっている 中城顺哉:本当か。もしかすると、王子の嫁に選ばれるかもしれないな、なあ、羽場 羽場智博:ふん、中条お姉さま、何を言っているんだ、「もしかすると」ではなく、選ばれるに決まってるじゃないか 澤木口美崎:ご馳走だよね、立食かな、それともコース 入須冬实:ところでシンデレラ、キミは何をしているんだ。さっさと床に這い蹲って掃除でもしたらどうだ 福部里志:おお、さすが入須先輩、なりきってるね 折木奉太郎:責任感が服をきって歩いているようなひとだからな 入須冬实:何をぶつくさ言ってるんだ、さあ、さっさと床を舐めて綺麗にするが良い 折木奉太郎:は...あっいや、それは女帝じゃないですよ。女王さまです 入須冬实:うん?これは違うのか 折木奉太郎:違います 入須冬实:ふむ、分かった。今回の失敗は次回で取り戻す。シンデレラを虐め抜き、必ずや、血の雨を降らして見せよ 折木奉太郎:いやいやいや、何になるつもりですか 入須冬实:では、お前たち、城へ行くぞ 澤木口美崎:は~い 羽場智博:アァ 中城顺哉:オィス 福部里志:こうして、姉たちはシンデレラを置いて、舞踏会に行ってしまいました。一人置いていかれたシンデレラは、悲しくなってシクシクと泣き出しました 折木奉太郎:はぁあ 福部里志:シンデレラは、悲しくなって、シクシクと泣き出しました...ホラ、シンデレラ、泣かないと 折木奉太郎:泣けるわけないだろう。むしろ一人の幸せを噛み締めているところだ 江波仓子:さっさと泣いてください。でないと、進みません。 福部里志:魔法使いが現れました 江波仓子:呼ばれて飛び出ました。魔法使いの江波です 折木奉太郎:呼んでないがな。あんたも駆り出されたのか 江波仓子:本当は興味もないですけど、本郷も出ませんし 福部里志:シンデレラ一人でも厄介なのに、やる気ないのが二人に増えちゃった。 江波仓子:とりあえず、役目をまっとうすることにします。それでシンデレラ、舞踏会に、行きたいんですか 折木奉太郎:行きたくない 江波仓子:そうですか。では私はこれで 折木奉太郎:おう 福部里志:ちょちょちょっと、江波先輩、ストップ 江波仓子:なんですか。ローブの裾を掴まないでください 福部里志:このままじゃ終わっちゃうよ 折木奉太郎:オレ的には一向に大歓迎だ 福部里志:シンデレラは黙ってて 江波仓子:はあ...困りましたね 福部里志:とにかく、江波先輩、無理矢理にてもシンデレラに舞踏会へ行く準備をしてあげてよ 江波仓子:分かりました。「古の御霊よ」 折木奉太郎:物凄く不穏な気配なんだが 江波仓子:「古き盟約に従いて、吾に仇なす全てを滅ぼせぇ」 折木奉太郎:オイ、今「滅ぼせ」って言ったっだろ 折木奉太郎:ウオォォォォォ 折木奉太郎:コホンコホン、は...おお、こいつは凄え、フリフリだな 福部里志:ドレスよく似合ってるよ、シンデレラ 折木奉太郎:は...里志、お前は馬になってるぞ 福部里志:みたいだね、じゃあ、ボクは馬役もか。って、あれ、ボクが引く車は 江波仓子:では、私はこれで 福部里志:ちょちょちょっと、江波先輩、ストップ 江波仓子:先から何なんですか。ローブの裾を蹄で挟まないでください 福部里志:いや、馬車がないのに、どうやってお城まで行けばいいのさ 江波仓子:ん、手近なところにかぼちゃがなかったので、ここにあるものにだけ何度なくで魔法をかけましたから 折木奉太郎:そこは面倒くさがるなよ 江波仓子:ふん。わがままな人たちですね 福部里志:ボクたちが悪いの 江波仓子:仕方がありませんね。少し、待っていてください。これは、夜に発光する草です。これをこのツボに入れると 折木奉太郎:オイ、それはまさか、失われた古代の移動魔法じゃ 江波仓子:えい 福部里志:お城に着いたね、シンデレラ 折木奉太郎:ああ、まさかあんな犯則技で来るとは思わなかったわな 福部里志:ボク、馬になる意味なかったね。 折木奉太郎:流石に同情してやるぞ、里志 福部里志:ふん。それにしても、結構人来てるね。あぁ、羽場お姉さまがいるよ 羽場智博:なんだ、本郷家が来てないのか。せっかく踊ってやろうと思ったのに 折木奉太郎:本郷も羽場の相手は大変そうだな 折木奉太郎&福部里志:合掌 ディ~ン 折木奉太郎:う?あそこにいるのは伊原か 福部里志:このお城を治めるのは摩耶花王でした 折木奉太郎:語り部役も続いてたのか 福部里志:一人二役も大変なんだよね 伊原摩耶花:はっ福ちゃん、あっ、それとシンデレラ、会いたくなかったわ 折木奉太郎:主役に会いたくなかったとか言うな 福部里志:ところで摩耶花王、愛瑠王子がどこだい 伊原摩耶花:ちょっと待ってね。ちいちゃん~ 千反田愛瑠:お呼びですか。摩耶花さ...はっまあ、折木さん、どうしたんですか、そのドレス姿 福部里志:ああ、言っちゃっだ 伊原摩耶花:よかったじゃない、シンデレラ、気に掛かてくれる人がいて 折木奉太郎:ううん。おのれ、 千反田愛瑠:ああっ、えっと、良くお似合いですよ 折木奉太郎:千反田、もうこの格好に付いては一切コメントしないでくれ 千反田愛瑠:そっそうですか、えと、では、ようこそいらっしゃいました。私が王子の千反田愛瑠です 折木奉太郎:不本意ながらシンデレラだ 福部里志:ボクは馬だよ、語り部も兼任しているけどね 伊原摩耶花:なんで福ちゃんが馬なのよ 福部里志:とある人に何度なくで魔法を掛けられてね、あんな裏ボスがいるとは思わなかったよ 伊原摩耶花:何それ ドン~~~~ 折木奉太郎:閉めた、12時だな。じゃあ千反田、これを渡しておく。 千反田愛瑠:あっ、綺麗なガラスの靴ですね 伊原摩耶花:ちょいちょいにかける渡し方ね、ちゃんと落としなさいよ。 折木奉太郎:ほっとけ 千反田愛瑠:では、シンデレラさん、まだ後日、お会いしましょう 折木奉太郎:千反田、ネタバラシを止めろう。あっ、じゃな。 福部里志:こうしてシンデレラは魔法が解ける前に、城を飛び出したのでした。 折木奉太郎:なあ里志、ところでこれからどうやって帰るんだ 福部里志:ああ、江波先輩が帰り用にって、羽の形のアイテムをくれてたんだ。ボクのポケットに... 折木奉太郎:お前今馬じゃないか、どこにポケットなんであるんだ 福部里志:ふははははは、無くしちゃった。 折木奉太郎:このバカ! 福部里志:馬だけに 折木奉太郎:面白くないんだよ 福部里志:さてさて、次の日、シンデレラの家に、お城の使いの者がやって来ました 千反田愛瑠:はっ、福部さん、すみません、使いの者ではなく、私と摩耶花さんで来てしまいました。人手不足なもので 福部里志:は...なんと、愛瑠王子と摩耶花王がやって来ました 千反田愛瑠:ありがとうございます ココ 入須冬实:なんだ 澤木口美崎:入須お母さま、誰が来たの。ん?王様と王子様じゃん 羽場智博:さてはボクに求婚しに来たのか 中城顺哉:羽場、何を言ってる。オレに求婚しに来たんだろう 伊原摩耶花:昨日、私の城に忘れ物をした人を探してるわ。王子はその人のことが凄く気になっている見たいなの 千反田愛瑠:私、気になります 入須冬实:ほお、お前たちどうだ 澤木口美崎:ああ?そんなしたかな。羽場は、 羽場智博:ふん、このボクはそんなどぢをする訳がないだろう、中条お姉さまじゃないのか 中城顺哉:ああ?俺か、どうだだかな 折木奉太郎:あっそれオレですよ 中城顺哉:シンデレラが? 千反田愛瑠:まあ、じゃあこの忘れ物は、シンデレラさんだっだんですね。はい、毛氈苔 折木奉太郎:違う! 千反田愛瑠:違いました? 折木奉太郎:違う、もっと他にあるだろう 千反田愛瑠:じゃあ、これでしょうか。はい、蠅取草 折木奉太郎:んなわけあるか。千反田、もっとちゃんと、アイテム的なやつだ 千反田愛瑠:アイテム?はあ、これですね。はい、猪籠草 折木奉太郎:さっきまでと同じじゃないか。なんで食虫植物ばっかなんだよ 千反田愛瑠:でも、忘れ物はこれだけでしたか 折木奉太郎:誰だ、こんな物を忘れていたヤツは、ほら、昨日ちゃんと千反田に渡したんだろう 千反田愛瑠:もしかして、これですか。ガラスの靴 折木奉太郎:それだ、なんでそれがすぐ出てこないんだ 千反田愛瑠:手渡したったので、てっきり献上品か何かだと 伊原摩耶花:シンデレラがそんなモノクサな渡し方するからよ。自業自得じゃない 折木奉太郎:んん 千反田愛瑠:では、シンデレラさんにお返ししますね 折木奉太郎:よし、これでオレがこの靴を履けば、こんな茶番は終わるな 千反田愛瑠:あれ、そう言えば、もう一つ忘れ物が。これです 折木奉太郎:えっ、その羽型のアイテムは、まさか... 福部里志:それ、ボクが昨日失くした。 折木奉太郎:ま、待て、千反田、それを使うな 千反田愛瑠:へ? 折木奉太郎&福部里志:うあああぁぁぁぁぁ~ 「吹雪」 福部里志:こうして、遠い位置に飛ばされたシンデレラと語り部は、元いた場所を探して、三千里もの旅路へと出発するのでした 折木奉太郎:はあ、もう、疲れたよ。何だかともて眠いんだ 「おしまい」