月より白い頬の色 絹糸に似た長い髪 朝の露より儚く生きて 透明なまま天に召された 愛されすぎると薄幸になる 父の帝の寵愛が過ぎ 後宮たちの妬みの渦が 命の衣を剥ぎ取った 桐壺 私は母の顔を知らない 亡くなったとき 幼子だった 桐壺 私は母の顔を知らない その空白の面影を 私は一生追うのだろう 光る君 光る君 女御や更衣が手で招く 利発さを父は案じて 源氏の名を与えてくれた 藤壺の君が入内したとき 母にそっくり 皆が騒いだ 床几を抜けて御簾の内まで 膝に甘えに遊びにいった 藤壺 私の母と生き写しのひと 元服すると逢えなくなった 藤壺 母とあなたが二重写しに 御簾の外から動く影 目で追いながら焦がれてた