更けゆく空 桔梗に染む 冴やけき影を見ていた 幾重になる虫の音色が寂しくて 止む事を祈った この場処が苦しいのは 何故 あの日貴方を 失ったからでしょう 秋の月 泡沫 仄かに零れる光 見つけてくれたのは 貴方でした やがて遠くの山の峰が 白々霞みだすまで 欠けては満ちる 尽きぬ影に 思いを重ねて 行く末を誓い合った 秋の月、泡沫 行き場もなく 遙かまで さすらうでしょう 満月よ もし一つ 一つだけ願いが叶うと云うならば 逢いたい もう一度だけ 刹那の灯火で良い 呼び醒まして 秋の月 泡沫 仄かに零れる光 浮き沈む雲居に 貴方を思う 雁が 去り往く 幾度 夜を 時を忘れて 二人語り明かしたでしょうか 漂う小舟のように 心は遙かまで さすらうでしょう