「抛。」 厭世、否応無く。 「萙。」 畢命、為せど生らぬ成ら。 輪紉依り縊る瀨に聲弌つ。 幽かに慥かに耳朶を這う。 歌は響渡り - 姿は無いが - 麗らかな旋律が禍の魂を娄留めた。 もう歌しか聞こえない。 「殅。」 安寧、鎹の音。 「翼。」 相貌、可惜見せぬ儘。 幾重にも嘯けど何弌つ 已無、焔結びて灼祓え。 時は灰神樂に - 靈の雀に - 誄、咫尺で彼の終に唄い上げた。 もう歌さえ聞こえない。 END