通のを行きかう人影もなく 路地裹に響く呼び声もない 焚かれることない凍えた炉辺 閉ざざれたままの小さな扉 歴史を刻んだ石の壁も 今は色あせ形をなくし 草に覆われた石畳には 砂埃だけが遊んでいる みんなはどこへ行ったのだろう 私が愛したあの人たちは 色のあせていくたそがれの中 私は一人涙する ひろがる田畑に種は撒かれず 名前を知らない草が茂る 営みの跡を草木が隠し 実りの記憶も遠くになった 繕い続けてもほつれていて 輝きの消えた私の世界 行く手を照らす灯りもなしに それでも步みは止められぬ それからどこへ行くのだろう 私の愛するあの人たちは 色のあせていくたそがれの中 私は一人立ち尽くす