唄:安藤裕子 拙い言葉で私を包んで あの窓辺のアネモネが咲く頃までは 行かないでいて 花を見届けて あのアネモネが子供に還り駆けてく ほら 見て 花びらが散るように堕ちてく そう あの娘(こ)は生まれる前の姿に 今始まるから 閧(とき)の声がして あの娘(こ)がもうすぐ首を落とすだろう 「サヨナラ」はいいよ 追いかけたくなる それより黙って姿を消してくれれば ほら 今 棚引くように揺れる黒髪 そう あの娘(こ)は生まれる前の姿に 目覚めぬ内に わかるなら消えて 届かぬ腕など 伸ばさずに行って ほら 見て 花びらが散るように堕ちてく そう あの娘(こ)は生まれる前の姿に ほら 今 棚引くように濡れる黒髪 そう あの娘(こ)は生まれる前の姿で 今始まるのよ 鬨(とき)の声がする 今すぐ黙って姿を消してくれればいい 「おわり」