さよならも言えなかった夏 - 下川みくに 二人で歩いた夏の日 波打ち際を裸足で 国道に上がる階段で 初めてあなたにキスをした 水平線をみてる背中を 何も言わずに抱きしめた あれからどれくらいの時が  二人のあいだ通りすぎたのかな 今でもあの潮風を 胸に抱いて 泣かないように 空を見上げた 夏の終わり 髪をなでる大きな手 耳元に残るぬくもり いいことがありますようにと あなたがくれた四つ叶のピアス あなたがいない夏が来るたび まだ胸の奥 打つけれど さよならも言えなかったね 後悔だけで言葉にならない キラキラとないだ水面に写る私は あの頃のまま 今年もまた 夏が終わる この空に誓うよあなたへの愛を もう届かない 泣いでもいいよ でも 私が泣きそうな時 きっと助けてくれるよね… 夕暮れの空 夏の終わり