壊れてゆく喜びも やがて消える哀しみも 思い描くすべてを抱いて いま焔(ほのお)を闇に浮かべる 楽譜(スコア)の焼き場はここですか? 棄てられ音のないカナシイ歌が 声を 私の声が欲しい? 尽き果て消える宿命だけれど 燃え上がれ哀しみよ 最期に輝かせてあげるわ 歌われぬ悲歌(うた)のため 火をくべ荼毘(だび)に付せ きらめいては消えてゆく 今際(いまわ)のことばの綴(と)じ目 美しく映える音景に あれはカゲロウ? 未来(まえ)が見えない 燃えては灰に消えゆくメロディ 新たに熱を燈(とも)されるハーモニー 何度も何度も繰り返す 私にはどんな意味があるの? 「娯楽などそんなもの」 虚しいなんて思いたくない 仮初(かりそめ)の明かりでも 意味など見えなくても 燃え広がる紅の 火の手は空まで伸びる 私が飲み込まれる前に 新しい音をちょうだい 燃え尽き果てた亡骸(なきがら) 積み上げられた塵埃(じんあい) 焼き場で歌う私の 声の逝き場はこんなもの きらめいては消えてゆく 今際(いまわ)のことばの綴(と)じ目 美しく響く音景は すべてカゲロウ? 何も聞こえない…… 壊れてゆく哀しみも やがて消える喜びも 思い描くすべてを抱いて いま焔(ほのお)の海に溶け逝く