天野月子 - 時計台の鐘 止まってしまえ時計台 八時を告げる間に 約束過ぎて溜息 あなたの顔がもう見えそう 止まってしまえ時計台 改札抜ける時まで 予約入れたディナーも 台無しになってキャンセルはいや あばたがまだ立っていますように 列車に揺られながらわたしも揺れてた 言い逃れなんてタブーだわ 逢ったら何て言おう 「献血してましたの」 洗濯物が絡んで 列車は途中停止した ここから歩いて行って 間に合うのなら降りていくのに あばたがまだ立っていますように 列車に揺られながらわたしも揺れてた 窓の外で微かになる時計台の鐘 耳の奥で騒めく 指切り交わした小指の骨は軋み 真っ赤に染まり 微熱を宿したまま あなたの指が緩んで解けていく 静かに その手を 切り落として 止まってしまえ時計台 八時を告げる間に 約束過ぎて溜息 あなたの声が もう 聞こえる あばたがまだ立っていますように 列車に揺られながらわたしも揺れてた 言い逃れなんてタブーだわ 逢ったら何て言おう 「献血してましたの」 あばたがまだ立っていますように 列車に揺られながらわたしも揺れてた 窓の外で微かになる時計台の鐘 耳の奥で騒めく