憂鬱な都市に一人 真昼の風景を一片 沈む地下鉄の駅 ノスタルジア行きのホーム 生ぬるい風吹きつけ みだれ髪の頁ひらひら 埃っぽい座席に 腰掛けて地下を滑る 出逢った日に恋をした うす紫色の春の夜 この場所はあの日から何キロメートル ずっと二人はそばにいるけど 向かいの季節に眠る恋人同士 思い出揺らす六月の午後 何も変わない月日が流れて行くだけ 捩れだ摩天楼を定刻通りの汽車が走る 君を乗せて 曇りのち雨の予報 降り始めた雨はしとしと 浮ぶ灰色の街 路地裏のカフォーへ急ぐ コーヒーの煙ゆらゆら 窓硝子零れ落ちる雨粒 繰り返してる日々は あとどのぐらい続くの 出逢った日に恋をした うす紫色の春の夜 五月雨るる午後は少しセンチメンタル ずっと二人はそばにいるけど そっと開いた黒い蝙蝠傘 思い出濡らす六月の雨 夕闇が辺りを染めても降り続く雨 このまま二人は いつもと同じ夜を過ごせなくて 思い出ばかりが遠ざかる いつかくれた愛の言葉 街を濡らす冷たい雨は あの日二人見ていた海に似ている いつの間にかすれ違っていた さよならも言えないまま 夜の灯をひとつひとつ繋いで 今すぐに逢いに行きたい 雨雲の街へ