三千世界 何羽目の鴉 逆夢の中 首を絞め殺ず 又 同じ朝 又 同じ空 眺めて一人 死なねため幕らす 兎角 あな憂き世は世知幸く 幕れの遊郭は燃えるやりに紅く染まる きりとて地獄か知らぬ 生きれば極樂 手練手管 時に腫れる毒舌 手練手管 時に 荒れるほと口説 手練手管 時に愡れると欲目 悋気は煙管吸うて吐いて捨てる しゃなりしゃなりと参りんす 花魁一輪 足元 鈴の音がちりん 真の心 此処にありんせん わっちゃあ女狐でありんす 狂乱 白い素肌舐め回す様に見つめる殿方へ冗読 口三味線の戯れに踊れ 肌蹴た体重ね重ね 乗れば誰かの愡れた腫れたに失う乙女心 あの子じゃわかりゃあせん花一匁 わっちゃあ華でありんす 早ようおいでなんし 一層他に居ないか 探してくりゃしゃんせ 浅葱裏にお武家様 見ておくんなんし 後一花咲かすまでは枯れやしない 臆 後生だから 早ようおあがりなんし 指切拳万 又来てくりゃしゃんせ 唯一夜切りの夢 おしげりなんし 娑婆で呑気に生きる彼奴らには判りやしない 鳥籠の中で咲いては散る華 この運命 滑り落ちてくる言葉さえ誰が為ではなく己が為 十の頃売られて来た身の上 憂き世浮かぶ命繋いだ一筆 日の本唯一女が下克上出来る廓で生きる それ故 好色煙に巻いて寄り縋る 皆平伏し情けを乞いたがる 華に群がる栄華の夢 されと遊女が此処では菩薩に成り上がる 妖艶な姿に指を這わした間の心変わり 客が立ち止まる見返り柳 花魁道中 高下駄描く八文字 言葉巧み 咲いて舞って 元の木阿弥になって泣いて 物悲しく幼気な期待は抱いて居ない 愡れた雅れたよと喉枯らし 聞こえただけで事もなし 心の底から主に惚れてなうらふ わっちゃあ華でありんす 早ようおいでなんし 一層他に居ないか 探してくりゃしゃんせ 浅葱裏にお武家様 見ておくんなんし 後一花咲かすまでは枯れやしない 臆 後生だから 早ようおあがりなんし 指切拳万 又来てくりゃしゃんせ 唯一夜切りの夢 おしげりなんし 娑婆で呑気に生きる彼奴らには判りやしない 籠女籠女 遊んではいけない あどけない声で啼く 夜明け 例え何度目だとて入れない 籠は遊郭じゃないわいな 籠目籠目 囲んで帰れない 已むを得ないと照れ隠し 真正面 誘えないとて あの世界で会いたい 無い袖は触れない 何時 何時 出遣る 聴こえぬ合いの手 変わらない渡世 目挑心招 柔な態度では 名乗れない花の名 敵わない到底 花魁道中 折花攀柳 天高く舞う ひらりひらり 手管 切磋琢磨 綺羅びやかに淫ら 水を弾く肌 風に揺られる花を見やしゃんせ わっちゃあ華でありんす 早ようおいでなんし 一層他に居ないか 探してくりゃしゃんせ 浅葱裏にお武家様 見ておくんなんし 後一花咲かすまでは枯れやしない 臆 後生だから 早ようおあがりなんし 指切拳万 又来てくりゃしゃんせ 唯一夜切りの夢 おしげりなんし 娑婆で呑気に生きる彼奴らには判りやしない わっちゃあ華でありんす 早ようおいでなんし 一層他に居ないか 探してくりゃしゃんせ 浅葱裏にお武家様 見ておくんなんし 後一花咲かすまでは枯れやしない 臆 後生だから 早ようおあがりなんし 指切拳万 又来てくりゃしゃんせ 唯一夜切りの夢 おしげりなんし 娑婆で呑気に生きる彼奴らには判りやしない