揺られている。途切れることはなく、人はすべて揺られている。 乳呑み子は教えられた。これからの日々を堪えるように。 揺れ続ける籠の中にいれば、変わらない距離ではいられない。 当然でしょう。人という型は皆違うのだから。 隔たりを煩うなよ。 生き抜けば等しいのさ。 君と僕の穢れのない手首を紫色の痕が残るほどに、 鋼の糸できつく縛りつけたくはないだろう。 だから、揺れ続ける籠の中で生きる。 定められた日々にあっては、 何者かとの差にはどんな意味も生まれはしない。 隔たりを煩うなよ。 生き抜けば等しいのさ。 揺られている。途切れることはなく、人はすべて揺られている。 何者にも成れなかった今こそが正しい。 隔たりを煩うなよ。 生き抜けば、等しいのさ。 隔たりを煩うのは、 生き抜いて寄り添うときに。