辛辣な言葉に出会った。 心は焦げて軽くなって、はらりと腹の底に落ちた。 形もわからなくなって落ちた。 存在範囲を失った。 涙腺は詰まって流れず、迷子の水滴(しずく)も落っこちた。 温度は奪いとられて落ちた。 ものさしが足りないと気づいた。 心はまた焦げて軽くなって、はらりと腹の底に落ちた。 形なんて残らずに落ちた。 輪っかはすでに続いていた。 涙腺は今も詰まったまま、迷子の水滴(しずく)も落っこちた。 摂氏0.001度で落ちた。 灰は埃を舞い上げていたが、使い古しの涙が固めていった。 絶望でさえも、削れやしない。 最悪でさえも、崩せやしない。 そういう強さが宿ってゆくなら、 幾度でもいい。繰り返してやろう。 何万年とは言わないが、年月は形を与える。 悲しみの分だけ立派になれよ。 悔しさの分だけ美しくなれよ。 積み上がった灰の城はいびつながら、心までまた届くだろう。 絶望でさえも、削れやしない。 最悪でさえも、崩せやしない。 そういう強さが宿ってゆくのを、 信じ抜くのが生きるってことか。 呼吸をいつか止(や)められたとき、 この中身を広げてください。 大切にいつも守ってきたもの。 誰かのためにもなれるように。