[00:57.45]行く春の風過ぐる辺 [01:01.06]麗しき男のありけるに [01:04.72]楽しくもしどけなき性に [01:08.47]業もなく日暮らし彷徨ひき [01:12.38]あ、あひなし 日次ぎこそ同じ [01:15.97]この月も退屈せざるにや [01:19.73]花衣 細し女の二人 [01:23.50]其の日にぞ たまたま逢ひき [01:27.18]あはや あはや 美しなれや [01:30.23]いみじきこと [01:32.22]如何ばかり待ち侘びたる人の [01:35.73]見付くるなれば 然れども此れ左右無し [01:41.65]何れ菖蒲か杜若 [01:45.28]夜さ見合ふ 然るべきにこそはありけめ [01:49.06]恋ひ侘ぶこと 更にもあらず [01:52.73]寄る人の見えぬも すべなけなくに [01:57.44] [02:12.46]敷き栲の黒髪の艶に [02:15.92]曇り夜の惑ひし指先の [02:19.65]茜さす君の惚るる顔も [02:23.49]射干玉のいと果敢無かりし夢 [02:35.10] [03:11.93]あはや あはや いと辛きこと [03:15.23]青き花の間に浮く月に問ふ [03:20.02]あなや いと難きこと [03:22.71]応へることも 能はず [03:26.68]何れ菖蒲か杜若 [03:30.15]憎き人 如ならば去りやはあらぬ [03:34.05]花を濡らし風に移ろふ [03:37.73]兄の君の心は夜露の如し [03:41.62]何れ菖蒲か杜若 [03:45.15]うら恋し 思ふ人よ 幾許かなしや [03:49.01]なれば去らむや 遠つ国へ [03:52.77]未だ見ぬ 天雲の遥かなる国 [03:57.81]